「許す」境地

知的障碍者のための通所施設「のらねこ学かん」の代表をされている塩見志満子(しおみしまこ)さん。この方について、初めて知ったのは、数カ月前に拝読しました雑誌「致知」の中の記事でした。

塩見さんが38歳の時に、ご長男を白血病で失われたそうです。それだけでも想像しがたい辛さに苦しまれたと思いますが、更に追い打ちをかけるような事故が起きます。

今度は、当時小3の次男さんが、学校のプールで、同級生に背中を押され、コンクリートに頭をぶつけ、亡くなられたそうです。

「犯人が誰か」と怒りがこみあげてくるなかで、ご主人が「犯人の子と両親は、一生その罪を背負っていかならん。うちの子が心臓麻痺で死んだことにして、許してあげよう」「犯人を見つけて、この子が帰るなら命を懸けて戦うけれども、帰らんなら犯人は分からんほうがええ。やめよう」と言われたそうです。「致知 2021.5月」より

その後、30年経った今でも、お子さんの墓前には命日になると花が絶えないそうです。

私も亡くなられたお子さんと同年代の娘がいますが、このようなことがあった際に、塩見ご夫妻のような行動が取れるとは全く思えません。度々ニュースで見かけるように訴訟を起こしているかもしれません。

この経験から「許す」を人生のテーマにされている塩見さんは、その後、ご主人が交通事故でトラックにはねられ、他界されます。親戚中に責められながらも、相手のトラック運転手の方を許されたそうです。

生きていく中で、「許す」か「許さない」の選択を迫られる場面に多く遭遇します。そんな時、ほんの少しでも塩見さんを見習えば、衝動的なイライラは収まり、温厚な関係を築くことができかもしれません。